近年、あらゆる業種において、“おもてなし”の重要性が取り上げられる機会が増えています。
これはもちろん、医療現場も例外ではありません。
また、医療現場で求められるおもてなしは“接遇”と呼ばれるものであり、医療に従事する方は、意味を理解する必要があります。
詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
接遇の概要
接遇の本来の意味は、“人をもてなすこと”です。
“遇”という漢字は、“遇す(もてなす)”と読むことができます。
医療行為には、安全がもっとも期待されていますが、安全であることを患者様に理解してもらうためには、接遇が必要になります。
具体的には、最良・最適な医療の提供で“安心”してもらい、適切・親身な接遇という“信頼”で補強することによって、患者様が満足できる“安全”な医療現場が形成されます。
また、多くの医療現場では、接客業の接遇手法が採用されていますが、実は接遇と接客は、その根本から異なります。
では、具体的にどのような違いがあるのかについて見ていきましょう。
“接遇”と“接客”の違い
接遇と接客の主な違いは以下の通りです。
・挨拶
・身だしなみ
・言葉遣い、表情
・態度
・受付応対
挨拶
接客における挨拶は、どれだけ作法を守れているかが重視される傾向にあります。
具体的には、以下のような作法です。
・背筋を伸ばす
・お辞儀の角度を意識する
・手の位置を意識する など
一方、接遇における挨拶では、どちらかというとナチュラルさ、患者様に緊張や不安、威圧感を与えないことを考えなければいけません。
身だしなみ
接客における身だしなみは、清潔感もしくは不快感を相手方に与えない頭髪、服装といったものを指しますが、接遇ではそれだけにとどまりません。
清潔感とあわせて、リスク管理、医療安全に繋がっているかどうかも重視されます。
つまり、身だしなみの定義に、“機能性”も含まれているということです。
言葉遣い、表情
正しい敬語、明るくハキハキ話すことなどを大切にするのは、接客の考え方です。
接遇では、敬語を使い分けながら、患者様の状況に合わせた言葉遣いを意識しなければいけません。
つまり、常にかしこまった敬語を使用する必要はないということです。
また、相手の状態を察知し、笑顔以外にも適切な表情を作ることが大切です。
態度
接客における適切な態度は、どちらかというとマニュアルが重視される傾向にありますが、接遇では主体的な行動が優先されます。
主体的な行動とは、自らの意思や判断に基づき、責任を持って行動することを指します。
また、目配り・気配り・心配りを大切にし、患者様と向き合うことも考えなければいけません。
受付応対
接客における受付応対は、どちらかというと受け身型です。
相手方から質問されたときに、適切な受け答えをするといったイメージです。
一方、接遇で定義される受付応対は、もっと積極的なものです。
例えば、待合室の状況を把握し、診療までの時間を伝えたり、外来看護師と連携を取ったりすることが求められます。
接遇と接客の違いまとめ
前述の違いをわかりやすく表にまとめると、以下のようになります。
接遇 | 接客 | |
挨拶 | ナチュラルさ、柔らかさ重視 | 作法重視 |
身だしなみ | 不潔感を与えない + リスク管理医療安全に繋がっている |
不潔感を与えない |
言葉遣い、表情 | 敬語の使い分け、相手の状態を察知した表情 | 正しい敬語、明るい表情 |
態度 | 主体的行動重視 | マニュアル重視 |
受付応対 | 積極的 | 受け身型 |
まとめ
ここまで、接遇の概要や接客との違いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
患者様の立場になり、考えや気持ちに思いを寄せること、そして患者様に興味を持ち、関心を寄せることが、接遇の根本的な考え方です。
もし、これまで接客業の手法を採り入れていたという医療従事者の方は、本記事を参考に、考え方を変えていただければ幸いです。
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