クリニックのチームビルディングは、さまざまなメンバーで構成されるため、考え方の違いなどが生じるのは決して不自然ではありません。
しかし、メンバーに“認知的不協和”が生じると、チームビルディングがうまく進捗しないことが考えられます。
今回は、認知的不協和の概要や事例、防ぐ方法などについて解説します。
認知的不協和の概要
認知的不協和とは、社会心理学における概念の1つで、矛盾する認知を同時抱えた状態、またはその際に覚える不快感やストレスのことをいいます。
日常生活におけるわかりやすい例としては、タバコをテーマにしたものがあります。
喫煙者の方は、タバコに対し、以下のような矛盾を抱えた状態で生活しています。
認知① | 喫煙者である |
認知② | タバコは身体に悪い |
このような状況のとき、人は「タバコを吸うとストレスが解消できる」「タバコは気分転換のために吸っている」などと喫煙を正当化したり、もしくはもう1つの認知を否定、つまり禁煙をしたりすることで、自身の不快感やストレスである認知的不協和を解消しようとします。
チームビルディングにおける認知的不協和の発生事例やデメリット
クリニックのチームビルディングにおいて、メンバーの認知的不協和が発生する事例とそれぞれのデメリットには、主に以下が挙げられます。
・業務実績の差がある
・一部のメンバーが管理職へ昇格する
業務実績の差がある
例えば、チームビルディングを構成する従業員Aが、クリニックでさまざまな実績を残しているのに対し、従業員Bがあまり目立った実績を残せていないとします。
このとき、院長先生がBに対し、「実績を残しているAを見習った方が良い」と声をかけた場合、従業員は「実績を残したい」「努力はしたくない」という矛盾する認知を抱えることがあります。
また、こちらを解消するために、従業員Bは「Aさんは住む世界が違う人だ」などと考えることがありますが、こちらはチームビルディングという観点では、組織としての総合力の低下やコミュニケーション不足、チームワークの欠如といったデメリットにつながりかねません。
一部のメンバーが管理職へ昇格する
例えば、チームビルディングを構成する同期メンバーのうち、1人が管理職に昇格したとします。
このとき、昇格したメンバーは充実感を得たり、リーダーとのコミュニケーションが増加したりしますが、一方で昇格しなかった他のメンバーには、「自分も管理職に就きたい」「努力を理解してくれない」という認知的不協和が生じ、モチベーションを低下させてしまうおそれがあります。
また、認知的不協和を解消するために、「努力を理解してくれないから成果が出なくて当たり前」などと他責思考に陥ることもあり、こちらもチームワークの欠如や離職率上昇などのリスクにつながります。
認知的不協和を防ぐ方法について
チームビルディングのメンバーにおける認知的不協和は、完全に防ぐのが難しいです。
それでも、院長先生がホラクラシー型のクリニックを目指すことで、ある程度発生のリスクは軽減されます。
ホラクラシー型とは、メンバーそれぞれが役割を持ち、上下関係を発生させず、フラットな関係を築く組織のことをいいます。
このような環境を整えることで、一部のメンバーの昇格などによる認知的不協和は基本的には発生しません。
また、院長先生がポジティブフィードバックを駆使し、各メンバーがやりがいを持って業務に取り組めるよう工夫することでも、従業員格差などによる認知的不協和は回避しやすくなります。
まとめ
ここまで、チームビルディングのメンバーに発生し得る認知的不協和について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
クリニックのチームビルディングを率いる院長先生は、指導方法や環境を原因とした認知的不協和が発生しないよう、日頃から注意する必要があります。
また、それでもなかなか業務への意識が高まらないメンバーがいる場合は、3up Projectを活用し、優れた人材の育成に取り掛かりましょう。