院長先生は、クリニックのチームビルディングにおいて指揮を執るだけでなく、メンバー一人一人と真摯に向き合い、スキルの向上、ひいてはクリニックの組織力向上を促す必要があります。
このような状況において、妨げとなる危険性があるのが“ゴーレム効果”です。
今回は、ゴーレム効果の概要や影響などについて解説します。
ゴーレム効果の概要
ゴーレム効果は、他者からの評価が低いことにより、成果や成績が下がってしまう心理学的現象です。
例えば、クリニックにおいて、院長先生があるメンバーにあまり期待していない場合、そのメンバーの成績は下がってしまいます。
ゴーレムは、ユダヤに伝承する泥人形のことであり、術師の呪文で動きますが、額にある1文字を消すと泥人形に戻ります。
このことから、人から受けた影響により、自身の能力を無意識に抑えてしまうことをゴーレム効果と呼んでいます。
ゴーレム効果の種類
ゴーレム効果には、主に以下の2種類があります。
概要 | |
絶対的ゴーレム効果 | 否定的な評価を受けた人物の成績が下がる直接的な効果 |
相対的ゴーレム効果 | 有能な人物の成績も、否定的評価の集団に所属することで低下する間接的な効果 |
ゴーレム効果を受けるのは、院長先生から直接低い評価を受けたメンバーだけではありません。
例えば、チームビルディング内でいくつかのグループに分けて行動する場合、否定的な評価を受けるグループに属するメンバーは、実際には優秀であったとしても、無意識に影響を受けることがあります。
ゴーレム効果がチームビルディングに与える悪影響
ゴーレム効果がクリニックのチームビルディングに与える悪影響には、主に以下のようなことがあります。
・自己肯定感の低下
・成果、成績の低下
・成長機会の減少
・組織全体の生産性の低下
自己肯定感の低下
チームビルディングにおいて発生したゴーレム効果は、メンバーの自己肯定感を低下させ、常にポジティブな行動を妨げることにつながります。
成果、成績の低下
ゴーレム効果により、自己肯定感を下げたメンバーは、業務に対するモチベーションを維持できなくなり、成果や成績が低下します。
また、集中力を欠き、ミスが増えて生産性も低下するおそれがあります。
成長機会の減少
ゴーレム効果の影響により、成績が低下したメンバーに対し、院長先生は新しい業務や重要な役割を任せる機会が減少します。
そのため、よりメンバーの成長は見込めなくなります。
組織全体の生産性の低下
先ほども解説したように、ゴーレム効果には絶対的なものと相対的なものがあり、特定のメンバーに向けた低評価が、クリニック全体に作用し、生産性を下げる場合があります。
ゴーレム効果の影響を避けるための方法
院長先生は、チームビルディングのメンバーに対し、細分化した目標を少しずつ着実に達成させるようにしましょう。
こうすることで、メンバーはゴーレム効果の影響があっても、モチベーションを維持しやすくなり、自己肯定感も少しずつ高めることができます。
また、院長先生が特に大事にしたいのが、評価が下がってしまったメンバーに対し、必ず挽回できるチャンスを与えるということです。
失敗したまま挽回のチャンスがなければ、メンバーに対する評価は良くないままになってしまいます。
その他、実力に応じた定量目標、定性目標を設定し、各メンバーが院長先生の予想通りの成績を残せるような工夫も必要です。
まとめ
ここまで、クリニックの院長先生が意識したいゴーレム効果の影響について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
院長先生の軽はずみな言葉が、ゴーレム効果を生み出し、メンバーやクリニック全体の生産性を下げる可能性もあるため、注意してください。
もちろん、注意していてもなかなかメンバーの能力が上がらないという場合は、3up projectなど外部セミナーの活用も視野に入れなければいけません。