クリニックのチームビルディングで、もっともリーダーシップを発揮しなければいけないのは、クリニックのトップである院長先生です。
しかし、規模が大きいクリニックでは、複数のリーダーを育成しておく必要があり、そのときに採用したいのが“インシデントプロセス法”です。
今回は、こちらを詳しく解説します。
インシデントプロセス法の概要
インシデントプロセス法とは、発表者のインシデント(実際の出来事)を対し、参加者が質問を重ね、問題点を洗い出し、その解決法を考えるという方法をいいます。
主にリーダー候補、マネジメント人材の採用面接、教育現場などで活用されている方法であり、チームビルディングでも採用することが可能です。
インシデントプロセス法の一般的な流れ
インシデントプロセス法は、以下のような手順で導入されるのが一般的です。
段階 | 備考 |
①発表者(院長先生)が参加者(メンバー複数人)にインシデントを発表する | 例:「3人のメンバーの中でA氏だけが目標を達成できなかったことの課題、解決策を考えてください」など |
②すべての参加者が発表者に質問し、その事例の背景となっている事実、情報を集める | ・参加者は完結に、具体的に質問する ・発表者は質問から逸れた回答をせず、原則推測や意見は述べない |
③参加者同士で協力し、事実、情報をもとに問題点を洗い出し、解決すべき課題を絞り込む | 発表者は、参加者が問題と課題の違いを理解し、いかにロジカルに課題発見までの思考プロセスをたどるかをチェックする |
④参加者が課題の解決策を提示する | 発表者は、参加者がその解決策に至るまでの思考プロセスを評価する |
⑤発表者が内容の振り返りを行う | 質問力、情報整理能力、仮説思考力、ロジカルシンキング力、課題解決能力などの視点で、各参加者の能力を総合的に評価する |
インシデントプロセス法のメリット
従来の事例研究会では、参加者が受動的であり、質疑応答が活発に行われないというデメリットがありました。
インシデントプロセス法は、参加者全員が発表者のインシデントを共有し、自身も当事者として問題の解決策を考えるため、積極的に事例検討会に参加できます。
また、インシデントプロセス法にメンバーを参加させることにより、メンバーは批判されず、他のメンバーからも多くのアイデアをもらうことができ、仲間に支えられる体験ができます。
その他、各メンバーの課題解決力を底上げすることにより、今後チームビルディングにおいて、リーダーシップを発揮できる人材も増加する可能性があります。
ちなみに、インシデントプロセス法は、単純に院長先生とメンバー、メンバー同士のコミュニケーションの機会も増加させるため、同じ目標に向かっていくチームビルディングにおいては、とても親和性が高いと言えます。
インシデントプロセス法の注意点
インシデントプロセス法の流れでも少し触れましたが、参加者が質問する際は、簡潔かつ具体的に質問し、発表者の意見や感想を求めるような質問をしてはいけません。
また、発表者は客観的事実を簡潔に回答し、質問からそれた回答や、推測、意見などを述べないように心掛けます。
もし、推測を答えるのであれば、その根拠となる事実、理由もあわせて説明する必要があります。
もちろん、発表者である院長先生は、これらのルールについて事前に参加者へ周知させておかなければいけません。
まとめ
ここまで、チームビルディングの人材育成に効果的なインシデントプロセス法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
何十人、もしくは何百人というメンバーが存在するクリニックのチームビルディングでは、院長先生だけで育成を徹底するのが難しいです。
そのため、インシデントプロセス法や3up Projectなどを駆使し、ある程度リーダーシップを発揮できる人材を確保しておかなければいけません。