クリニックのチームビルディングでは、メンバーをまとめ上げる院長先生の手腕が非常に重要です。
業務の大半をこなすのはメンバーですが、院長先生のマネジメントスキルがなければメンバーを正しい方向に導けません。
今回は、院長先生に求められるアクティブリスニングについて解説します。
アクティブリスニングの概要
アクティブリスニングは、元々臨床心理学の専門用語です。
日本語に訳すと“積極的傾聴”であり、話し相手の成長と可能性の実現を促す環境を整え、話し手が自分自身で問題を解決できるようにサポートするスキルです。
臨床心理学者であるカール・ロジャースによって提唱されたもので、こちらの心理学者はカウンセリングの対象を患者ではなく、初めてクライアントと呼んだことで有名です。
アクティブリスニングが重要視される背景には、マネジメントに必要なスキルに傾聴力や質問する能力が含まれていることが挙げられます。
これらの能力とアクティブリスニングの関連性は強く、現在ではビジネスシーンでも注目を集めるようになりました。
アクティブリスニングの手法
アクティブリスニングの手法には、主に以下の2種類があります。
・バーバルコミュニケーション
・ノンバーバルコミュニケーション
バーバルコミュニケーションは、対話と言葉を介したコミュニケーション手法です。
具体的には、オープンクエスチョンやパラフレーズなどがあります。
オープンクエスチョンは、話し手に対してYes、Noで答えられない質問をすることで、会話を途切れさせないためのテクニックです。
こうすることで、多くの情報を相手から引き出すことができます。
パラフレーズは、相手の言葉を別の言葉に置き換えてオウム返しする手法です。
例えば「なかなか諦めきれない」という話を「粘り強く頑張っているのですね」という話に転換します。
またノンバーバルコミュニケーションは、会話や言葉の内容以外で行うコミュニケーション手法です。
主な手法としては、やや前のめりの姿勢で話を聞いたり、相手の警戒心を取り除くためにポジティブな表情をつくったりする手法があります。
アクティブリスニングのメリット
チームビルディングにアクティブリスニングを採り入れることにより、以下の効果が得られます。
・良好な人間関係の構築
・コミュニケーションの活発化
・問題解決能力の向上
・ハラスメントの抑制
メンバーにとって本音を言いづらい存在である院長先生が、積極的にメンバーの話を傾聴することにより、良い人間関係が構築できます。
またコミュニケーションを取る機会も増えますし、メンバーには自身で問題解決策を見出せる能力が身に付きます。
さらに風通しの良い職場環境がつくられることから、ハラスメント抑制にも大きく貢献します。
アクティブリスニングの注意点
チームビルディングにアクティブリスニングを導入する場合、院長先生の精神的負担が大きくなることには注意が必要です。
なぜなら、傾聴力を発揮するのは決して簡単ではなく、スキルの習得に時間がかかるからです。
アクティブリスニングでは、聞き手による解決策の提示や反論、否定などが推奨されていません。
そのため院長先生は自身の経験から解決策を教えたくなったり、メンバーの主張に口を挟みたくなったりしますが、その欲求をコントロールする必要があります。
また話し手に共感しすぎると、聞き手の感情のバランスが崩れるおそれもあります。
まとめ
院長先生によるアクティブリスニングは、チームビルディング全体の雰囲気を良くするだけでなく、各メンバーのスキルアップにもつながります。
一人ひとりの意見をじっくり傾聴するのには根気が必要ですが、目標達成を目指すならぜひ実践してみましょう。
もちろん、院長先生だけでメンバーのスキルを向上させられない場合は、3up Projectの活用もおすすめです。