あらゆる組織において問題となっているハラスメントですが、こちらはもちろんクリニックも例外ではありません。
ハラスメントが発生すると、被害者だけでなく院内全体にも大きな影響を及ぼします。
今回は、ハラスメントに対してクリニックがどのように対応すべきなのかについて、具体的に解説しましょう。
クリニックでハラスメントが起こることのデメリット
クリニックにおいて、医師から従業員、従業員間などのハラスメントが発生すると、以下のようなデメリットが生じます。
デメリット | 概要 |
被害者への悪影響 | ・心身の健康悪化に伴う長期休職、退職、自殺 ・人間不信に伴う生活への支障 ・集中力の低下による通勤時の事故、業務中の事故、ミス |
クリニックの信用低下 | ・クリニックイメージの悪化 ・多額の損害賠償請求の発生 |
加害者のキャリア、人生への悪影響 | ・懲戒処分(懲戒解雇、停職、減給など) ・損害賠償責任 ・刑事罰(侮辱罪、脅迫罪、暴行罪など) |
ご覧の通り、ハラスメントはクリニックにさまざまな影響を与え、組織としての健全性を奪ってしまうことが考えられます。
クリニックが行うべきハラスメント対策3選
クリニックの院長や経営陣は、以下のような方法でハラスメント対策を取りましょう。
・就業規則等による対策
・ガイドラインの作成
・院長が実施すべき措置の把握、実践
就業規則による対策
基本的なハラスメント対策としては、まず“就業規則による対策”が挙げられます。
具体的には、就業規則または服務規定の中に、ハラスメントを禁止する旨を記載し、違反した場合には罰則があることも明記しておきましょう。
記載すべき内容としては、以下のようなものが挙げられます。
・従業員は医院の方針や自己の責務を認識し、その業務に参与する誇りを自覚し、医院および医院の指揮と計画の下、強力、親和し、秩序良く業務の達成に努めなければならない
・従業員は下記の行為をしてはならない
ア.医院の命令や規則に違反または反抗し、その業務上の指示および計画を無視すること
イ.職務の怠慢および言動や行動により、職場の風紀、秩序を乱すこと
・従業員は医院の名誉を傷つけ、医院に不利益を与えるような行動や言動をしてはならない
・性的言動により、他の従業員に不利益や不快感を与えたり、就業環境を乱したりしてはならない(セクハラの禁止)
・業務の適正な範囲を超えて、他人に精神的・身体的苦痛を与えたり、就業環境を乱したりしてはならない(パワハラの禁止)
ガイドラインの作成
クリニック内において、どのような行動や言動がハラスメントに該当するのかについて、具体的に明示するガイドラインを作成することも対策の1つです。
例えば、セクハラと判断される可能性がある以下の事案についても、ガイドラインでOKなのか、NGなのかを明確にしておきましょう。
・下の名前で呼ぶ
・「恰好良くなった」「可愛くなった」などの発言
・化粧、服装の評価
・肩を叩く
・個人的に連絡先を聞く
・食事に誘う など
院長が実施すべき措置の把握、実践
クリニックの院長は、ハラスメントを防止するため、以下の雇用管理上実施すべき措置を把握し、実践しなければいけません。
・ハラスメントを禁止する旨を明確化し、管理監督者を含む従業員に周知する
・相談窓口を設置する
・ハラスメント発生時には、迅速かつ正確に事実関係を確認する
・事実確認後には、速やかに被害者に対する配慮の措置、行為者に対する措置を行う
・再発防止に向けた措置を講ずる
・被害者、行為者のプライバシーを保護する など
まとめ
ここまで、クリニックにおけるハラスメントへの対応を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
すでに説明した通り、ハラスメントはクリニックをあらゆる角度から破壊するおそろしいものです。
徹底的にハラスメント対策を取りたいというクリニックは、一度コンサルティング会社などのプロフェッショナルに相談することも検討しましょう。
また、弊社は医療総合コンサルティング会社で御座います。
BSC(バランス・スコアカード)を使ったコンサル戦略で、多角的にクリニック経営をサポートさせて頂きます。
クリニックの経営でお悩みの方は、まずは弊社にご相談下さい。