クリニックの現場では、日々従業員間でさまざまな医療用語が飛び交います。
しかし、これらの用語については、医師や従業員が当然のように理解できるものであったとしても、患者様には伝わらない可能性があります。
ここからは、医療用語を患者様にわかりやすく伝える方法について解説します。
患者様に医療用語をわかりやすく伝える3つの方法
患者様に対し、医師が症状や治療法などについて説明する場面、薬剤師が薬の概要を説明する場面などは、どうしても長尺の言葉になりがちです。
また、このとき医療用語が混ざっていると、患者様が話の内容を理解できず、症状や治療法に対して誤った認識を持ってしまったり、薬の服用方法を間違えたりしてしまうおそれがあります。
そのため、クリニックでは以下のような工夫を行い、医療用語の意味をわかりやすく伝えなければいけません。
・日常語に言い換える
・明確に説明する
・混同を避ける
日常語に言い換える
多くの患者様が理解できないと判断できる医療用語については、できる限り日常的な言葉で言い換えたり、説明したりすることが大切です。
具体的には、患者様が普段の生活において、耳にする機会が極めて少ない医療用語を含む説明を行う際には、以下のように言い換えるべきです。
医療用語 | 日常語に言い換えた伝え方 |
エビデンス | この治療法が良いと言える証拠 |
寛解 | 症状が落ち着いて安定した状態 |
誤嚥 | 食べ物などが気管に入ってしまうこと |
せん妄 | 話す言葉や振る舞いに一時的な混乱が見られる状態 |
明確に説明する
多くの患者様が一度は耳にしたことがあると判断される医療用語は、会話の中で使用しても問題ありません。
ただし、すべての患者様が、完璧に意味を理解しているかどうかはわからないため、このような言葉を使用する際には、一歩踏み込んだ知識を持ってもらうため、明確な説明を加えることを意識しましょう。
具体的には、以下のような伝え方を意識すべきです。
医療用語 | 明確な説明を加えた伝え方 |
ウイルス | 細菌よりも小さく、電子顕微鏡でないと見えない病原体 |
炎症 | 身体を守るために、身体の一部が熱を持ち、赤く腫れたり痛んだりすること |
インスリン | 膵臓で作られ、血糖を低下させるホルモン |
潰瘍 | 病気のため、身体の一部が深いところまで傷ついた状態 |
頓服 | 症状が出たときに薬を飲むこと |
腫瘍 | 細胞が異常に増えてかたまりになったもの |
混同を避ける
医療用語の中には、患者様にある程度知られているものの、日常的に使用される意味と、クリニックの現場での意味が異なる言葉がいくつかあります。
また、このような言葉を説明の際に使用する場合は、混同を回避するための工夫が重要です。
例えば、“合併症”という言葉は、意味が複雑でわかりにくく、患者様に伝える際に混乱や混同が起こりがちです。
日常的には、ある病気が原因となって起こる別の病気を指すことが多いですが、医療用語としては、手術や検査などの後、それらが元になって起こることがある病気を指すこともあります。
これらの意味を混同せず、患者様にうまく伝えるためには、病気が原因で起こる別の病気を合併症、手術や検査が原因で起こる病気を“併発症”や“手術併発症”、“検査併発症”といった言葉に言い換え、その意味を明確に説明するのが効果的です。
ちなみに、日常的な意味と医療用語における意味が異なる言葉には、合併症の他にも“貧血”や“ショック”などが挙げられます。
まとめ
ここまで、医療用語を患者様にわかりやすく伝えるためのコツや工夫について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
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システマチックなプログラムで、適切な接遇やマナーを身に付けさせることで、自ずとクリニックの力は底上げされます。