クリニックの接遇において意識すべき“貌言視聴思”について

接遇のこと

クリニックの接遇には、身だしなみ、挨拶、表情、態度、言葉遣いという5つの原則が存在します。

また、こちらと似たような心得として、“貌言視聴思(ぼうげんしちょうし)”というものがあります。

今回は、貌言視聴思の概要と各項目のポイントについて解説したいと思います。

貌言視聴思の概要

貌言視聴思とは、元々は江戸時代初期の陽明学者で、近江聖人と称えられた中江藤樹による生活の心得を指しています。

こちらをクリニックの従業員向けにアレンジされたものが、今回解説する貌言視聴思であり、具体的には以下のような項目で構成されています。

・貌(柔らかな表情)
・言(丁寧な言葉遣い)
・視(温かな眼差し)
・聴(拝聴の姿勢)
・思(尊敬する仕草)

貌(柔らかな表情)

貌とは、患者様と接する際に柔らかな表情をつくることを指しています。

中でも目元の笑顔を大切にすることは、クリニックの接遇において必須だと言えます。

なぜかというと、クリニックの従業員はマスクをしていることが多く、目元でしか柔和なイメージを与えることができないからです。

特に近年は、コロナの影響によりマスクの着用が欠かせないため、より目元を優しく見せることを意識しなければいけません。

言(丁寧な言葉遣い)

言とは、患者様に対する丁寧な言葉遣いを指していて、特に重要なのはクッション言葉の使用です。

具体的には、以下のような言葉が自然に出るようになることで、患者様の印象は良くなります。

お願いするときの言葉 恐れ入りますが、お手数をおかけ致しますが、ご都合がよろしければ など
尋ねるときの言葉 差し支えなければ、お尋ねしたいことがあるのですが など
詫びる、断るときの言葉 申し訳ございませんが、大変残念でございますが、失礼とは存じますが など

視(温かな眼差し)

視とは、患者様に向けて温かな眼差しを向けることを指しています。

具体的には、話を聞く際、説明する際に患者様の目を見ることをいい、この場合のアイコンタクトは、最低でも5秒間キープするのがポイントです。

このように、しっかりと温かな眼差しを向けることで、患者様には「真摯に対応してもらっている」と思ってもらうことができます。

聴(拝聴の姿勢)

聴とは、拝聴の姿勢をしっかりと態度で示すことをいいます。

わかりやすいものでいうと、患者様が話している最中に、うなずきと相槌を良いタイミングで入れることなどが当てはまります。

その他でいうと、患者様の意見や主張に対し、言葉を繰り返すいわゆるオウム返しも、話をしっかり聞いていることをアピールできる方法です。

思(尊敬する仕草)

思とは、患者様に尊敬の意を持って接していることについて、仕草や行動で表すことを指しています。

例えば、ものを受け取る際、友人同士などでは片手でも構いませんが、患者様ともののやり取りをする際は、両手渡しが基本です。

ちなみに、手渡しするものによっては、従業員同士が片手でやり取りすることも、患者様に不快な思いをさせることがあります。

具体的には、患者様の大切な情報が記載されたカルテなどを片手でやり取りすることで、患者様に対し、「自分はぞんざいに扱われている」と思わせてしまうことが考えられます。

また、「あちらのお部屋へどうぞ」などと患者様を案内する際には、手で方向を指し示すこともありますが、このときは指先ではなく、手のひら全体を使うようにします。

まとめ

ここまで、接遇の5原則とあわせて意識していただきたい、貌言視聴思という心得について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

従業員の接遇力がアップすれば、現場の生産性向上やクリニックの評価アップ、離職率の低下など、さまざまなメリットが生まれます。

また、従業員の接遇意識がなかなか向上しないクリニックは、ぜひ3up Projectをお試しください。

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