クリニックにおいて患者様と接する際には、当然敬語を使用します。
しかし、正しい敬語を使っているつもりであっても、実際は不十分であったり、過剰であったりするケースがあります。
今回は、接遇において使用しないように注意すべき、間違った4つの敬語について解説したいと思います。
接遇において注意したい間違った敬語4選
以下の4つの間違った敬語は、つい患者様に対して使ってしまいがちなため、注意しなければいけません。
・尊敬語と謙譲語の混同
・二重敬語
・「さ」入れ言葉
・過剰敬語
尊敬語と謙譲語の混同
間違った敬語の使い方で特に多く見られるのが、尊敬語と謙譲語の混同です。
今一度、これらの違いをおさらいしてみましょう。
概要 | 主語 | |
尊敬語 | 相手や相手の行動、状況への敬意を表す言葉で、相手の位置を自分より高めた言い回し | 相手 |
謙譲語 | 自分がへりくだることで、相手への敬意を示す表現 | 自分 |
このような定義の違いを踏まえると、以下のような敬語が間違っていることがわかります。
・「後ほど拝見してください」
「拝見する」は「見る」の謙譲語であり、上記の場合は主語が相手方の患者様であるため、以下のように言い換える必要があります。
・「後ほどご覧になってください」
二重敬語
二重敬語とは、1つの動詞に対して2つ以上の敬語表現を使用することをいいます。
例えば、「患者様がお帰りになられました」という言い回しは、「帰る」を「お帰りになる」という尊敬語にした上に、尊敬語の「~れる」を付け加えているため、日本語としては間違っています。
上記の場合、「患者様がお帰りになりました」が正しい敬語です。
「さ」入れ言葉
言葉の中に、意味のない「さ」が入っていることを「さ」入れ言葉といいます。
例えば、「読まさせていただきます」という言葉は、正確には「読ませていただきます」であり、間に「さ」を入れる必要はありません。
ただし、直前の語が「あ」にならない活用形であれば、「~させていただく」で正解です。
具体的には、以下のケースが該当します。
概要 | 例 | |
上一段活用 | 「ない」をつけると母音が「い」で終わる動詞 | 着ない⇒「着させていただく」 など |
下一段活用 | 「ない」をつけると母音が「え」で終わる動詞 | ・食べない⇒「食べさせていただく」
・決めない⇒「決めさせていただく」 など |
か行変格活用 | 「来る」のみ | 来させていただく |
少し難しいですが、直前の語の母音がどれに該当するのかを考えれば、正しいかそうでないかを見分けることができます。
過剰敬語
過剰敬語とは、敬語を使用しすぎることにより、言葉がおかしくなってしまっている状態をいいます。
先ほど解説した二重敬語は、1つの動詞に対して2つ以上の敬語を使用するというものでしたが、こちらは動詞に重複しているわけではなく、敬語が連続しているイメージです。
例えば、患者様に対し、「保険証はお持ちになっていらっしゃいますでしょうか?」と質問したとします。
こちらは、「持つ」の尊敬語である「お持ちになる」に加え、「いらっしゃる」「でしょうか」を重ねている形です。
ここまで丁寧にしすぎると、言葉として不自然になりますし、単純に言葉が長くなり、患者様にストレスを与えてしまう可能性もあります。
そのため、以下のように言い換えるようにしましょう。
・「保険証はお持ちになっていらっしゃいますか?」
・「保険証はお持ちでしょうか?」
まとめ
ここまで、クリニックでの接遇において使用しないように注意すべき、間違った敬語について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
同じ敬語表現であっても、少し使い方を間違えるだけで、患者様に与える印象は大きく変わってしまいます。
また、従業員の接遇スキルを向上させたいというクリニックは、医療機関に特化した教育・育成プロジェクトである3up Projectの活用を検討してください。