クリニックのチームビルディングでは、基本的に院長先生がリーダーとなり、目標に向かってチーム全体が正しく進むことができるように指揮を執ります。
また、中には“コンティンジェンシー理論”を採用するケースもあります。
今回は、こちらの概要とメリット・デメリットについて解説します。
コンティンジェンシー理論の概要
チームビルディングで用いられることのあるコンティンジェンシー理論とは、「どのような状況にも対応できるリーダーシップは存在しない」という考え方のことをいいます。
1964年、フィドラーという経営心理学者が提唱したもので、具体的にはリーダーが持つ能力に帰属するのではなく、環境の変化に応じ、組織の管理方針を適切に変化させることを指しています。
コンティンジェンシー理論を採用するメリット
クリニックのチームビルディングでコンティンジェンシー理論を採用するメリットは、主に以下の通りです。
・チームの柔軟性が向上する
・ピラミッド型の組織に縛られにくい
・変化への対応力があるリーダーを育成できる
チームの柔軟性が向上する
コンティンジェンシー理論を採用し、環境に合わせて適宜リーダーを変えていくことで、クリニックの動きはフレキシブルになります。
例えば、以下のように適切なリーダーを配置することにより、根柢の価値観が似ていることから、指示される側は的確な動きをしやすくなります。
従業員の特徴 | 求められるリーダー |
30代~40代 | 同世代の経験があるリーダー |
20代 | 同世代の若いリーダー |
女性 | 業務経験、人生経験のある女性のリーダー |
ピラミッド型の組織に縛られにくい
クリニックのチームは、どうしてもピラミッド型に縛られがちですが、コンティンジェンシー理論を採用すれば、さまざまな世代のリーダーをフラットな関係にすることができます。
変化への対応力があるリーダーを育成できる
コンティンジェンシー理論により、さまざまなリーダーを配置することにより、変化に強いリーダーを育成することができます。
また、このような人材が複数いることは、クリニックのチームビルディングにとって大きな支えとなります。
コンティンジェンシー理論を採用するデメリット
一方で、チームビルディングにおいてコンティンジェンシー理論を採用することには、以下のようなデメリットもあります。
・チームが間違った方向に進む可能性がある
・専門性が身に付きづらい
チームが間違った方向に進む可能性がある
コンティンジェンシー理論では、状況に応じて絶えずチーム体制を変更するため、比較的短期間での判断が求められます。
このことから、チームが間違った方向へ進むことも考えられます。
一度方向性を間違ったとしても、再び軌道修正できるのがコンティンジェンシー理論の強みですが、気付かないまま過ぎてしまうと、業績の悪化や生産性向上につながるおそれがあります。
専門性が身に付きづらい
規模の大きいクリニックのチームビルディングでは、メンバーが行う業務さまざま分野に分けることも珍しくありません。
そのため、コンティンジェンシー理論の導入により、頻繫にリーダーの配置が換わってしまうと、専門性の高い業務ノウハウは身に付きにくいです。
つまり、変化対応力や柔軟性は身に付いても、業務に関する知識や能力は、どれも中途半端になってしまう可能性があるということです。
まとめ
ここまで、クリニックのチームビルディングにおけるコンティンジェンシー理論の概要やメリット・デメリットについて解説してきました。
クリニックは、“クリニックのリーダー=院長先生”という概念にとらわれず、臨機応変に体制を変えることも検討してください。
また、リーダーに相応しい人材を育てたいという場合は、医療機関に特化した育成プログラムである3up Projectを活用するのもおすすめです。