クリニックのチームビルディングでは、メンバーの不満を減らし、なおかつそれぞれのスキルを最大限に発揮させることが求められます。
またそのために必要なのが人事評価であり、人事評価の方法の一つにノーレイティングがあります。
今回は、ノーレイティングの概要や導入ステップ、メリット・デメリットを解説します。
ノーレイティングの概要
ノーレイティングは、メンバーのパフォーマンス評価において、数値やランクを使用せずに評価を行う制度です。
従来の人事評価システムでは、メンバーの成果や能力を数値やランクで評価していましたが、ノーレイティングではフィードバックや対話を重視し、成長や改善を促します。
メンバーの評価について、より柔軟で人間的なアプローチで行うことを目的としています。
ノーレイティングの導入ステップ
クリニックのチームビルディングでノーレイティングを導入する場合、以下のようなステップを踏むことになります。
①現状の課題分析
②ゴールの設定
③ロードマップの策定
④院内共有、トレーニング
まずは現状の人事評価制度について、問題点を確認し、課題の原因を分析するところから始めます。
ランク付けなどによる人事評価を行っている場合、これを機に廃止することが望ましいです。
またノーレイティングの導入によって得たい成果を明確にしたら、ロードマップを策定します。
必要に応じて、特定の部署などでテスト的な導入を実施することも検討しましょう。
導入目的やロードマップが定まったら、その内容を社内に周知します。
ちなみに、ノーレイティングの評価者には高いマネジメントスキルが求められるため、研修やトレーニング機会の提供も重要です。
ノーレイティングのメリット
クリニックのチームビルディングにおけるノーレイティングは、人材の確保や育成につながります。
なぜなら、メンバーの不満が減ったり、上司と部下の関係性が良化したりするからです。
従来の人事評価システムは、院長先生をはじめとする上司からの一方的なものが多く、部下が納得できない場合も多くありました。
一方ノーレイティングでは、月に数回程度フィードバックを行うため、上司と部下の認識のずれが解消できます。
もちろん認識のずれがなくなれば、部下の納得感やモチベーションもアップし、さらなる飛躍を目指すメンバーが増加します。
これにより、優秀なメンバーが離職してしまうリスクも軽減できるのは大きなメリットです。
またノーレイティングでは、月に数回1on1面談を行い、変化とともに生じるずれをタイムリーに微調整できます。
そのため、急激に変化する社会や経済環境、テクノロジーに対し柔軟に対応することが可能です。
ノーレイティングのデメリット
ノーレイティングを導入するクリニックでは、院長先生をはじめとする管理者側の負担が大きくなります。
毎回の対話でしっかり部下の話を聞く必要があり、リアルタイムのフィードバックも求められるため、レイティング評価と比べ何倍もの時間と手間がかかります。
またノーレイティングには決められた評価項目がないため、必然的に管理者側の判断にゆだねられる領域が多くなります。
管理者にマネジメント能力がない場合、不適切な評価を与えてしまったり、部下が評価内容に不満や疑問を持ったりすることも考えられます。
これでは、ランク付けを行う人事評価システムの問題点を解決できません。
まとめ
チームビルディングのノーレイティングは、従来の人事評価システムを廃止すれば、すぐに導入できるというわけではありません。
少しずつ体制を整えた上で導入する必要があるため、導入を検討するクリニックは早めに準備に取り掛かりましょう。
また優秀なメンバーを育成するには、新しい人事評価システムだけでなく、3up Projectなどのセミナーも採り入れていく必要があります。