たとえ個々の能力が高かったとしても、人間関係が希薄である場合、組織の生産性はなかなか上がりません。
もちろんこちらはクリニックのチームビルディングにも言えることであり、人間関係に関連する取り組みとして導入したいのがソシオメトリーです。
今回は、ソシオメトリーの概要やメリット・デメリットなどを解説します。
ソシオメトリーの概要
ソシオメトリーは、人間関係を測定するための取り組みです。
名称はラテン語に由来していて、ソシオは仲間、メトリーは測定を意味しています。
精神分析家のヤコブ・モレノ氏によって提唱されたものであり、集団における個人同士の関係は、個々人の感情から成り立つものという定義がベースにあります。
個々人の感情の絡まりを解きほぐし、集団の関係を理解しやすくするための方法として、組織や教育などの現場で用いられています。
ソシオメトリーによる人間関係の測定方法
ソシオメトリーにおける人間関係を測定する方法としてもっとも一般的なのは、ソシオメトリックテストと呼ばれるものです。
こちらは一定の基準に基づき、メンバーに“選択”と“排斥”を回答させることで、人間関係の心理的な動きや集団の構造を分析するという方法です。
例えば「一緒に旅行に行きたいと思う人を5人選んでください」という質問に対し、メンバー全員に選択、排斥を回答させます。
このとき各メンバーから「一緒に行きたい」と思われたメンバーは選択、「行きたくない」と思われたメンバーは排斥されたことになります。
そしてこちらの質問によって得られた結果をソシオマトリックスという表にまとめ、ソシオグラムと呼ばれる図を作成します。
最後に、得られたソシオグラムからメンバーを区分し、集団の人間関係を特定していきます。
チームビルディングにおけるソシオメトリーのメリット
チームビルディングにソシオメトリーを採り入れるメリットは以下の通りです。
・人間関係を明瞭化できる
・回答者の集団適応力がわかる
人間関係は目で見ることができませんが、院長先生はソシオメトリーによってメンバー同士の関係を可視化できます。
またソシオメトリックテストは与えられた選択肢で回答するため、メンバーに直接質問してもわからなかった人間関係の構造も明瞭化することが可能です。
さらにソシオメトリックテストでは、どのメンバーが好かれているのか、つまり集団適応力が高いのかも推測できます。
集団適応力が高いメンバーは、チームビルディングにおいて核となる可能性があります。
チームビルディングにおけるソシオメトリーのデメリット
一方、チームビルディングにおけるソシオメトリーには、以下のデメリットもあります。
・手間がかかる
・情報漏えい時のリスクがある
ソシオメトリーをチームビルディングに導入するのは良いことですが、メンバーが多ければ多いほど、分類しなければならないデータ量も膨大になります。
そのため、データの集計や分析にはとても手間がかかります。
またチームビルディング内にソシオメトリーを導入する場合、倫理観の問題にも注意しなければいけません。
ソシオメトリックテストでは、各メンバーの実名による調査が必須です。
しかし、調査対象には選択だけでなく排斥も含まれているため、回答結果の情報を漏えいさせてはいけません。
なぜなら、嫌われていると推測できるメンバーが浮き彫りになってしまい、個人の人権に抵触するトラブルへと発展しかねないからです。
まとめ
メンバーが一致団結し、それぞれの業務をこなしながら、共通の目標に向かっていくのがチームビルディングです。
そのため、ソシオメトリーの導入によって人間関係を把握し、各メンバーが最大限力を発揮できる環境を整える必要があります。
またメンバーの技術や知識などの面をフォローしたいという院長先生は、セミナーの一環として3up Projectを活用するべきです。