医療現場においてなぜ“組織行動の規範”が重要なのか?

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医療現場では、優れた技術と知識を持ったエキスパートたちが、日々患者様の治療を行っています。

そして、一般的に優れているとされる医療現場の根幹には、“組織行動の規範”というものが存在します。

今回は、組織行動の規範における概要と、こちらを医療現場で重視しなければいけない理由を解説しましょう。

“組織行動の規範”の概要

組織の一員としてふさわしい行動指針のことを“組織行動の規範”といいます。

より細かくいうと、組織の中で遭遇するあらゆる状況に対し、いかに行動すべきかを判断するための指針であり、明文化されたものと、メンバー間で暗黙的に共有されているものに区別されます。

医療現場で組織行動の規範を重要視すべき理由

医療現場で働くスタッフと、その医療機関の経営陣は、同じ目的を持って行動していません。

具体的には、以下のような違いがあります。

主な目的
現場スタッフ 患者様の治療、接遇など
経営陣 医療機関の黒字化、作業効率の向上など

しかし、医療機関が組織として一体感を高めるのであれば、上記のいずれかに目的を統一しなければいけません。

そうしなければ、スタッフと経営陣との間で軋轢が生じ、労働環境の悪化、患者様における信頼度の低下に繋がる可能性があるからです。

そして、医療機関の一体感を高めるために必要なのが、今回のテーマである組織行動の規範です。

組織行動の規範を明確にすることで得られる効果

例えば、以下のような異なる考えを持つ医療機関があったとしましょう。

・患者様を治療するだけでなく、その他の困っていることも解決しようとする医療機関
・患者様の治療に専念する医療機関

前者の医療機関は、患者様の治療におけるゴールを“退院”ではなく、“社会復帰、日常復帰のサポート“と考えています。

こちらの考えを組織行動の規範として明確にすることで、医療現場のスタッフは患者様の身体的な傷病だけでなく、社会的もしくは経済的な課題を解決するために奔走することでしょう。

一方、後者の医療機関では、とにかく現場スタッフの役割を傷病治療のみに定め、確実かつ迅速に、低価格の医療費で治療することが重視されます。

こちらの考えも、組織行動の規範として明文化することで、提供する医療行為の効率化や専門性の深化が期待できます。

つまり、医療機関がどのような考えを持っていたとしても、組織行動の規範さえしっかりしていれば、全員が同じ目的に向かって進みやすくなるということです。

リーダーシップ研修に注力しすぎるのはNG

医療機関の中には、“リーダーシップ研修”を重点的に行っているところもあるでしょう。

こちらは、指導者としての統率力、指導力が職務上必要とされる方を対象に、知識や技術などを習得させるための研修をいいます。

もちろん、リーダーシップ研修は医療機関にとって必要なものですが、組織行動の規範を設定したときのように、組織力の向上に繋がるものとは言えません。

なぜなら、リーダーシップの定義は極めて曖昧であり、どちらかというと技術的なものよりも、上に立つ人物の在り方が重要になるからです。

その上、いくらリーダーが優れた人材であっても、医療現場のスタッフ1人1人が組織行動の規範を理解し、自発的に行動しなければ、理想的な医療機関にはなりません。

リーダーシップ研修ばかりに注力しすぎると、かえって組織としてのバランスが崩れる可能性があるため、注意しましょう。

まとめ

医療機関のように、専門職のスタッフが多数在籍する組織こそ、組織行動の規範を重視しなければいけません。

経営陣や現場スタッフのリーダーは、まず自院の現状を把握するところから始めましょう。

もし、どのように組織行動の規範を定めるべきなのかわからないようであれば、専門のコンサルタント会社に依頼することも検討してください。

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