医療現場における“接遇”は、患者様が必要としていることを理解し、思いやりの心を持って接する技術です。
相手方に必要なサービスを提供する“接客”、公の場における最低限のルールを指す“マナー”とは異なるものであり、これには5つの原則が存在します。
ここからは、その内容について詳しく解説したいと思います。
接遇の5原則
医療現場における接遇の5原則は以下の通りです。
①身だしなみ
②挨拶
③表情
④言葉遣い
⑤聞く姿勢(態度)
①身だしなみ
医療現場の接遇における理想的な身だしなみは、頭髪や顔、服装などにおける清潔感と、安全面に配慮した機能性を兼ね備えたものを指します。
すべて条件をクリアすることで、患者様のより良い医療環境を提供できます。
具体的には以下の通りです。
部位 | 内容 |
頭髪 | ・髪の毛が長すぎない ・整髪料をつけすぎていない ・寝ぐせがついていない ・明るい色すぎない など |
顔周辺 | ・目やに、食べカスなどがついていない ・化粧が派手すぎない ・ヒゲは処理している ・口臭に注意している など |
手周辺 | ・爪は長すぎない ・手をよく洗っている、消毒している ・ネイルをしていない ・アクセサリーをしていない(結婚指輪以外) など |
足周辺 | ・靴が汚れていない ・安全かつ動きやすい靴を履いている ・靴のかかとを踏んでいない など |
服装 | ・襟、袖口が汚れていない ・シワがない ・ズボンの裾が長すぎない ・患者様のケガに繋がるもの(安全ピンなど)を身に付けていない・動きやすく安全な格好をしている など |
②挨拶
医療現場の接遇において、挨拶は以下の条件を満たしたものである必要があります。
・患者様と目を合わせる
・ゆっくりハッキリと、にこやかに声をかける
・目線の高さに合わせる(車椅子、イスに座っている患者様の場合)
逆に、かしこまった硬い挨拶は、親しみにくい、話しかけづらいといった印象を与えてしまいます。
挨拶の“挨”には“心を開く”、“拶”には“心に迫る”という意味があり、この意識は常に持っておかなければいけません。
もっと詳しく:状況に合わせた挨拶の方法や言葉の選び方について
③表情
患者様にとって親しみやすい表情は、やはり柔らかい笑顔です。
特に、以下の条件を満たす笑顔は、医療現場の接遇において必要不可欠でしょう。
・口角がしっかりと上がっている
・目元が輝いている
・視線が合っている
一方で、辛そうだったり、疲れていそうだったりする表情は、患者様に不安な気持ちや不快感を与えてしまいます。
もっと詳しく:クリニックの従業員が意識すべき表情のポイントについて
④言葉遣い
医療現場における接遇では、当然適切な敬語を使いながら、適宜親しみを持って患者様と話すことが大切です。
“利用者様”と“友達”の、ちょうど中間くらいの方と接するイメージを持ちましょう。
よって、以下のような言葉遣いは避けなければいけません。
・友達口調
・馴れ馴れしい呼び名(ニックネームなど)
・よそよそしい口調
・専門用語
・命令口調
・子どもと接するような口調 など
もっと詳しく:クリニックの従業員が身に付けるべき言葉遣いのポイント3選
⑤聞く姿勢(態度)
医療現場における接遇では、しっかりと患者様の声に耳を傾ける姿勢が求められます。
例えば、患者様の話を聞く際は、上半身が常に相手側に見えるように意識しましょう。
後ろから話かけられたからといって、首だけで振り返って話すのはNGです。
また、自身の話を聞く姿勢をチェックする際は、横から見て以下のポイントが一直線になっているかどうか確認しましょう。
・耳
・肩
・腰
・膝
・かかと
ちなみに、患者様の話をしっかり聞くことは、信頼を得てもらえるだけでなく、患者様1人1人を理解すること、興味を持つことにも繋がるため、おろそかにしてはいけません。
もっと詳しく:患者様に好印象を与える話の聞き方や態度について
まとめ
ここまで、必ず押さえておきたい医療接遇における5原則を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
意識すべきことは多岐に渡りますが、冷静に見てみると、1つ1つの行動は決して難しくありません。
ただ、常に接遇を意識し続けるには、心の底から患者様を思いやる心がないといけないため、それは医療現場の中で少しずつ養っていきましょう。
また、弊社は医療総合コンサルティング会社で御座います。
BSC(バランス・スコアカード)を使ったコンサル戦略で、多角的にクリニック経営をサポートさせて頂きます。
クリニックの経営でお悩みの方は、まずは弊社にご相談下さい。