医療現場では、接遇とともに“ホスピタリティ”が求められます。
こちらは、医療従事者の方々が日々患者様と向き合うにあたって、なくてはならないものです。
ここからは、ホスピタリティの概要や、サービス・接遇との違い、医療現場における具体的な事例などについて解説しましょう。
ホスピタリティの概要
“思いやり”または“心からのおもてなし”を提供することを“ホスピタリティ”といいます。
以前は、ホテルなどのサービス業で用いられることが多かった言葉ですが、最近は医療現場においてクローズアップされる機会が増えてきました。
ちなみにホスピタリティの語源は、“優れて客人歓待を具現する者”という意味を持つラテン語であり、近年はこちらを活かせる産業を指す“ホスピタリティ産業”という言葉も、少しずつ認知され始めています。
もっと詳しく:クリニックの従業員に必要な5段階の心遣いについて
ホスピタリティとサービスは何が違う?
ホスピタリティとサービスの大きな違いは、その目的にあります。
サービスが報酬を目的とした労働であるのに対し、ホスピタリティは自主的かつ他人の利益が目的の行動を指しています。
医療現場における他人とは、当然患者様のことを指していて、医療従事者の方は、常に患者様がどうすれば喜ぶのかを意識し、手厚いおもてなしをしなければいけません。
その他、提供する方、される方の立場も、サービスとホスピタリティでは変わってきます。
サービスは、基本的に提供する側よりもされる側の方が立場は上であるのに対し、ホスピタリティは双方の関係が対等です。
わかりやすく表にまとめておきますので、この機会にぜひ覚えてください。
ホスピタリティ | サービス | |
意味 | 思いやり、心からのおもてなしを提供する | 客が求めること、マニュアルに載っていることを的確にこなす |
目的 | 他人の利益 | 報酬 |
双方(する側、される側の立場) | 対等 | 提供する側が下、される側が上 |
ホスピタリティと接遇は何が違う?
医療現場において、ホスピタリティと接遇はセットで扱われることが多く、意味も非常に似通っています。
異なる点といえば、接遇が日本発祥の考え方であるのに対し、ホスピタリティは海外発祥であるところでしょう。
その他、接遇は主に医療・介護といった業種で用いられる言葉である反面、ホスピタリティはサービス業や宿泊業、運輸業、旅行業などでも頻繁に使用されるところにも違いがあります。
医療現場におけるホスピタリティの具体例
医療現場において、患者様に提供するのが望ましいホスピタリティの事例には、主に以下のようなことが挙げられます。
・笑顔で挨拶をする
・目を見て話す
・一度すべてを聞き入れ、受け止める
・現状と将来の予測を話す など
その他、“クッション言葉”を効果的に使用することも、医療現場におけるホスピタリティでは必要なことです。
もっと詳しく:医療現場において“クッション言葉”を使用すべき場面
以下の一言を添えるだけで、患者様に与える印象はソフトになりますし、距離感も縮まりやすくなるでしょう。
クッション言葉 | |
患者様にお願いをするとき | ・すみませんが
・申し訳ありませんが ・申し訳ございませんが ・恐れ入りますが ・恐縮に存じますが など |
患者様に尋ねるとき | ・差し支えなければ
・お尋ねしたいことがあるのですが ・お伺いしたいことがあるのですが |
患者様に手間を取らせるとき | ・お手数をおかけしますが
・お手を煩わせまして恐縮ですが ・お忙しいところ大変申し訳ございませんが ・何度もご面倒をおかけしまして ・こちらの都合ばかりで申し訳ございませんが |
もっと詳しく:クリニックの従業員が電話対応で意識すべきホスピタリティ
もっと詳しく:高齢の患者様と話す際に心掛けたいホスピタリティ
もっと詳しく:幼い患者様との関係性を深めるための方法について
まとめ
ここまで、医療従事者の方に知っていただきたいホスピタリティについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
患者様へのおもてなし、心からのおもてなしがホスピタリティですが、相手方の気持ちを想像しすぎるあまり、過度な配慮をしてしまうというケースもあります。
よって、普段から患者様のことをよく観察し、たくさん話を聞いて、適切な対応ができるように努めなければいけません。
また、弊社は医療総合コンサルティング会社で御座います。
BSC(バランス・スコアカード)を使ったコンサル戦略で、多角的にクリニック経営をサポートさせて頂きます。
クリニックの経営でお悩みの方は、まずは弊社にご相談下さい。